Week6 Day3 腹腔動脈のスケッチ、上腸間膜動脈と小腸、肝区域の剖出

8:40 肝臓の区域解剖説明、5名不在内2名病欠
 午前はスケッチあと2、3班


13:00  実習再開
14;15 2班終了
15:20 12班終了
18:00 終了

*動脈の剖出と同定はきちんとしましょう。腹腔動脈は変異に富む。アトラスにある分枝様式ではなく観察した分枝様式が真実です。
*肝区域の剖出は肝臓の実質を残さないと区域がわからなくなる。血管をうまく剖出しながら肝臓の実質も保存しましょう。

依藤メモ10/20
*P84 網嚢孔に差し込む紙片は各班に配布してあります。
*注意:P85 門脈の語は一般用語としての「門脈」と肝門脈を指すことがあるので、注意。
*訂正:P85右カラム「脾臓」のところ。「脾臓は人体最大の造血器官」とありますが、成人では造血はおこなわれていません。古くなった血球の破壊は行われていますが。但し、脾臓での造血は胎生期にはあり、成人でも大量出血の後などに復活することはあります。
*追加事項:カロー(Calot)三角・・・胆嚢管、総胆管(総肝管)、肝臓下縁で囲まれた三角。胆石、胆嚢がんなどによる胆嚢の手術の際に、この中を胆嚢動脈が走る目安として使用される。
*腹腔動脈の写生:1)別途配布のプリントに記載の項目を写生する。 2)記載のタイミング:P87の「解剖の復習」まで終了したら、写生を開始する。但し、実習書にまだ剖出しないと書いてある箇所(例えば膵臓の後を通る脾動脈など)の剖出は不要。
*写生の教員によるチェックが済んだら、肝区域の剖出をおこなう。剖出の要領は供覧したビデオ及びプリントによる。
**肝臓をほぐして、肝区域を調べるのは病変のない肝臓についてのみ実施。CT所見に病変の記載のあるものについてはスライスを作り病変との対応を調べること(レポートの題材として記載可。)
*取り出した肝臓・心臓・肺・その他臓器などは重さ長さなどをはかって、臓器としての実感を体験するとともに「記録用紙(各班に配布済み)」に記入のこと、はかり、定規はストライカー置き場の横に用意してあります。長さは定規あるいは流し台の手前手すりに巻き尺が貼付けてありますので、それも使って下さい。定規は使い終わったらすぐに戻すこと。
*追加:P88左カラム 上腸間膜動脈と腹腔動脈の起始部がかなり近接していることに注意。
*追加:P88左~右カラム & 右カラム 6.
「上腸間膜動脈が左腎静脈の前を通る」「左腎静脈が上腸間膜動脈と腹大動脈の間で圧縮される危険性がある」とありますが、左腎静脈の圧迫で腎臓にうっ血が起こり、血尿が出ることがあります。これをNutcracker (クルミ割り)症候群といいます。
*訂正:P89左カラム下から2行目「上腸間膜リンパ節」は「上腸間膜動脈リンパ節」に訂正。英語にも”artery”を追加。
*腸間膜動脈の「カン」は「間」で「管」でないことに注意。毎年、何人かが間違った答案を書きます。
[本日追加事項:1. P89左カラム1行目:「小腸動脈」という語は医学用語、解剖学用語にはない。「空腸動脈」「回腸動脈」で覚えること。2. 同 9. 4-5行目「上腸間膜静脈は・・・肝門脈になる。」の記載の箇所はここではまだ剖出はしない。

依藤メモ10/26
•*P90 右カラム 4. 上腸間膜動脈、下腸間膜動脈の血流分布の境界はきちんと押さえておくこと。
*訂正:P91右カラム下から3行目「第3腰骨」→「第3腰椎」
*追加:P92左カラム 欧米では膵臓を頭頚体尾の4部分に分けるが、日本では頚を頭に含め、3部分として扱うことが多い。
*P92左カラム 4. 総胆管と主膵管の合流部を探すには、細いプローブがあれば総胆管の断端からそれを入れ、先端を大十二指腸乳頭の近くまで進めておく。そのプローブの先端の位置を確認しながら、膵臓を崩していくと主膵管との合流部を確実に見つけることができる。
*追加:P92右カラム7. 脾動脈から分枝して膵臓に分布する約10本の枝は、まとめて「膵枝」と呼ぶことが多い。
*追加:P93左カラム 4.「門脈ー体循環吻合」は臨床的にも重要。きちんと頭に入れておくこと。
*訂正:P93左カラム 4. 「傍臍吻合」「傍臍静脈」→「臍傍吻合」「臍傍静脈」
*追加:P93左カラム 4. 後腹膜吻合の「後腹膜静脈」は具体的には「腰静脈、上行腰静脈など」を指す。
*追加:P93左カラム「臨床との関連」2行目 「肝門脈が閉塞」とあるが、完全閉塞は稀で、通常肝硬変などで類洞の血流が流れにくくなる狭窄が多い。
*P93右カラム 1. 消化管の切り出しの際に結紮する糸は、色糸より凧紐(タコヒモ)の方が強く縛れますからタコヒモを使ってください。教卓横の机の上から必要な分を(切って)持っていってください。
*変更:P94右カラム 15.胃の切開は「前面」とあるが、「大弯側」に変更。臨床でも摘出した胃の切開は大弯でおこなう。←病変が小弯側にあることが多いため。
*追加:P94右カラム 15. 幽門洞、幽門管はまとめて「幽門部」と称される。また、幽門括約筋、幽門口がある部位は「幽門」。
*追加:P94右カラム 16.「大十二指腸乳頭」は別名「Vater(ファーター)乳頭」とも呼ばれる。ここに胆汁、膵液の分泌をコントロールし、逆流を防ぐ「Oddi(オッディ)の括約筋」がある。
*追加:P94右カラム 17. 腸(特に回腸)の切開は腸間膜付着面に沿って切開線を入れてください。集合リンパ小節(パイエル板)が腸間膜付着部の対向面にあるためです。空腸、回腸の切開はそれぞれ約5cmとあるが、回腸遠位部は約3m(ほぼ全長)を切開、粘膜面をそっと水洗してパイエル板を探してみる。(加齢や死後変化のため、見られないことも多いが探してみること。)
*追加:P94右カラム 18.「回盲弁」は別名「バウヒン弁」とも呼ばれる。
*追加:P95左カラム19. 「結腸膨起の間には半月ヒダ」とあるが、「半月ヒダの間が外にふくれて結腸膨起」と考えた方が覚えやすい。
*追加:P95右カラム 7. 精巣(卵巣)動静脈と尿管の位置関係の記憶には、英語圏では”Water runs under the bridge”という覚え方がある。尿を水にたとえ、動静脈を橋にたとえている。尿路の手術の際、誤って動静脈を結紮、あるいは精巣、卵巣の手術の際に誤って尿管を結紮すると健康な臓器が壊死することになる。特に後者では腎臓がダメになる。動静脈と尿管の位置関係に関しては、子宮動静脈と尿管でも同じ。(cf. 但し、総腸骨動静脈との交差部では尿管が上を走る。)
*追加:遊走腎:腎筋膜(Gerotaの筋膜とも言う)、脂肪被膜等による腎臓の固定がわるくなった場合、腎臓の下垂が起きることがある。2椎体以上下垂した場合を遊走腎と呼ぶ。腰部の鈍痛、血尿などをきたすこともある。
*追加:P96左カラム 腎臓の8. 腎臓副動脈 accessory renal arteries(副ー腎動脈、腎副動脈とも訳される(前者ではハイフンをいれ副腎動脈と区別する))は腎門部以外から腎に入る動脈で、大動脈から直接分枝している場合も多い。
*追加:P96右カラム 18.腎盂:正式な解剖学用語では「腎盤」だが、臨床現場ではほとんど「腎盂」が使われるので「腎盂」で覚えてよい。
*追加:P97 副腎の4. 右副腎が分からない時は下大静脈からの分枝(右副腎静脈)を探して副腎を見つけることもできる。
*追加・訂正:P97右カラム腹大動脈と下大静脈の1. 腹大動脈の枝の分類で臓器にいく枝を臓側枝、腹壁に分布するものを壁側枝と呼ぶ。訂正は2番目の・副腎動脈→中副腎動脈、腎臓動脈→腎動脈
*追加:解剖の復習 2.左右の腎臓と周囲の構造物との位置関係は実物、およびアトラスで確認しておくこと。
*摘出した器官等は配布のビニール袋に入れて乾燥しないように保存する→次の試験の範囲!!。但し、肝臓は別のビニール袋に保存する。

依藤メモ10/27
*P98右カラム 2.大腰筋:近頃「整体」で はやりの骨盤矯正にかかわる「インナーマッスル」の代表的筋肉。ヒレ肉は動物のこの筋にあたる。
*P98右カラム 腰神経叢:変異も多く、必ずしも教科書・図譜通りに剖出できるとは限らないが、分布域、走行、太さなどから判断、同定する。
*P98右カラム 5.腸腰靱帯: L4,L5横突起(肋骨突起)から腸骨稜へ張る強い靱帯。
*P99右カラム 2.腰内臓神経:腰部交感神経幹からおこる通常4個の神経で、第5腰椎上に神経叢をつくる。
*P100 横隔膜:1)名前は「膜」とついていますが、本態は骨格筋です。腹式呼吸の主役。収縮するとドーム状の横隔膜のドームが下に下り、胸膜腔が広がって肺の中に空気が入ります。起始は実習書にも記してあるとおり、腰椎、肋骨、胸骨(剣状突起)で、停止は中央にある腱中心です。
 2)横隔膜の穴、脆弱部を介して胃や腸管、大網などが胸腔内に膨出することがあり、これが横隔膜ヘルニアである。先天性のものと後天性のものが区別される。どのような種類の横隔膜ヘルニアがあるか、調べてみよ。
*P100左カラム 3.「食道裂孔は右脚にある開口部」とあるが、食道裂孔自体は正中やや左寄りにあるのに何故右脚にあるのかは、その周囲を囲む筋線維がほとんどのものが右脚へと流れるため。
*P101左カラム 臨床との関連:肝臓の病変が横隔膜に波及すると右肩に関連痛(放散痛)をきたす事がある。そのメカニズムは押さえておくこと。