Human Gross Anatomy
解剖学のアトラス。写真とイラストの両方が使われているのは他にない。
解剖学のアトラスには、イラストを使ったもの、写真を使ったものがあり、それぞれに一長一短がある。イラストはみてわかりやすいが、実物からは多少とも乖離する。写真は実物そのものではあるが、写らないものまでは表現できない。
本書は、写真とイラストの両方が同格に使われている。それぞれの写真には、それに対応するイラストが置かれている。さらに、写真には映り込んでいないもの、再現しにくいものは、イラストで補われている。
全体の構成は局所解剖に沿っているが、それぞれの章内は、系統解剖の順に(骨格で始まり、筋、脈管、内臓などと進み、神経系で終わる)記載され、一貫している。章の初めには、箇条書きでまとめたアウトラインがある。筋の起始・停止・神経・作用は、表にまとまっている。章末には重要なポイントのまとめ「Helpful Notes」と、臨床関連事項「Clinical Notes」がある。
これらすべての制作、すなわち、標本作成、写真撮影と画像処理、イラスト制作、本文作成、ページレイアウトなどを、筆者ひとりでこなしたらしい。図の数を数えると969あった。『ネッター解剖学アトラス 原書第5版』でも531だ。まえがきによると、筆者はこの制作が楽しくて仕方なかったという。筆者はKansas City Universityの解剖学の准教授だ。
章 | 図の数 |
---|---|
胸部 | 85 |
腹部 | 109 |
骨盤部と会陰 | 97 |
下肢 | 175 |
背部 | 86 |
上肢 | 151 |
頸部 | 82 |
頭部と脳 | 184 |
Wolters Kluwer社の教科書として新しいのは、Inklingのコンテンツのコードが付属していることだ。Inklingのアプリで全文を読める(練習問題やムービーなど、追加のコンテンツはない)。
Wolters Kluwer社はthePointで独自にコンテンツを提供しているが、一般のユーザには全文を提供してはいなかった(指定教科書として採用した教員にだけ、全文も提供している)。今後は他の本でも全文のコンテンツのコードを冊子体に付属させてほしいものだ。
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