ジュンケイラ組織学 第4版


本書の底本は、2013年刊で現行の「Junqueira’s Basic Histology: Text and Atlas, 13e」だ。

初版はポルトガル語で、1971年にブラジルで刊行された。1975年に英語版が刊行され、以来世界的に使われている。評者も使ったが、当時とは内容も体裁も別物だ。「伝統は革新の連続(※)」なのだろう。内容はアップデートされていながら細かな知見に流されず、説明がよく整理されている。

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T細胞形成の説明は現代的

 

顕微鏡写真の大半はHEの光顕だ。数では『Ross組織学』に及ばない。的確な場面が選ばれているので不足を感じることは少ない。ただし、歴史が長いだけに古さを感じさせる写真が目立つ。この版で新しいのとだいぶ差し替えられたらしいが、一新が望まれる。本書に準拠したバーチャルスライドがネットで公開されている

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顕微鏡写真の大半はHE。デジタル以前の古ぼけてみえる写真が散見される。ここでもHEの色調がばらついている

 

模式図が十分にあり、説明文や顕微鏡写真の理解を助けている。レイアウトは美しく、読みやすい。

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模式図が電顕写真の理解を助けている

 

随所に「臨床応用」という短い囲み記事がある。数は多いが単純すぎて、CBT、国試、実際の臨床にもつながるような、しっかりした記事は見受けられない。この版で章末にまとめが追加された。

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咳を説明した「臨床応用」。治療薬まで一足飛びにいってしまうにはバックグラウンドがなさすぎないだろうか

 

約20名の翻訳者により、原著第10版から欠かさず日本語版に翻訳されている。新しい知見を学ぶ機会を学生に提供しており、良心的だ。

※ ネット上の最古の用例は「芸術情報アートエクスプレス」14号の「 芸術文化を大切にする地域作り-金沢市民芸術村の果す役割 – 細川紀彦」のようだ