統計学の「やさしい」本

「わかりやすい」「易しい」「マンガでわかる」という統計学の本を4冊。いずれもパラメトリックな(分布が既知のデータに対する)手法をカバーしている。

統計学には習得を難しくするポイントがたくさんある。統計学の「入門書」がこれらにどう対応しているのかで、その特徴が決まる。

  • 最初は平易だけど少し進むと急速に難易度が増す
  • いつの間にか何かを推定しようとする
  • 確率の話があちこち差し込まれていて混乱する
  • 恣意的に決められたことと、数学的に決まることとが混ざっている
  • 知らなくても実用に差し支えない話が多い
  • 似て非なる変な用語が多数あって混乱する
  • 検定方法が多種類あって違いがわかりにくい

自分に必要なのが何かを掴むことが、「入門書」を投げ出さないポイント。

  • 試験にパスすればよい
  • 手持ちのデータをみんなのやる方法で検定できればいい
  • 大人数の関わる大きな調査で結果を出したい

『完全独習 統計学入門』

本書の特徴は、統計学自体を再構成して、簡素化していること。すなわち、統計学を説明するのに、確率の理論をたくさんは使わないように工夫してある。それによって、初心者の混乱しがちな話が省かれた。

本書の想定する読者
確率を使わない

本書で重きを置かれるのが標準偏差だ。波乗りにたとえたり、偏差値を引き合いに出したり、投資に応用したりして、その役割がわかるようにしてある。

標準偏差を波に例える
偏差値
リターン、リスク、シャープレシオを統計学で

全体が2部構成に分かれている。第2部になると話が複雑になるが、医学統計でもよく使われるt-検定は第2部にでてくる。ここまでが本書のゴールだ。

  • 第1部:標準偏差から検定・区間推定まで
  • 第2部:母集団の推定

『マンガでわかる統計学入門』

本書のカバー範囲も、統計量の定義から母集団の推定や検定までだ。しかし、記述統計(1)やら推測統計(2)の「にているけど少し違う」計算を意識せずに、説明されるまま応用すればうまくいくようになっている。統計ソフトウエアを困らずに使うには必要十分と思われる。

*1  持っているデータ自体の特徴を抽出する技法
*2 大きな全体の集合の特徴を、そこから抜き出した少数のデータから推測する技法

分散の定義の分母が「n-1」
n=30を目安にして実用上問題ない程度に、面倒な話を回避
背理法を使う根拠を、甘いかどうかで
第1種、第2種の誤りも押さえて

本書を買うなら、その前にKindle版の無料サンプルをチェックしてみよう。無料で読めるページ数が多いかもしれない。

『マンガでわかる統計学 素朴な疑問からゆる~く解説』

本書の重点は、正規分布やその他の代表的な分布だ。これを丁寧に説明してある。見開きの片方に文章、見開きの他方にマンガがある。

文章では、理論の恣意的な、習慣的な部分が指摘されている。実用上の見切りのポイントもある。数学的な根拠もサワリだけ紹介されるが、知らなくてもよい、覚える必要はないなどとスかされる。読むモチベーションが上がり下がりして、煩わしいといえば煩わしいかもしれない。いつの間にかマンガのほうだけ読んでしまう。

正規分布でないと意味がないと、ハッキリと見切ってくれる
正規分布と仮定して大丈夫なポイントも教えてくれる
分散の分母にこだわる

説明が丁寧な分、落ち着いて読まないと理解するのは難しい。イラスト担当のねじ子先生も難しかったらしい(笑

イラストはねじ子先生
よく探すと、ねじ子本のキャラクターも見つかる

『マンガでわかる統計入門 中学数学で理解できる!』

本書はKindle Unlimitedで読める。確率論や数式が多いので、難しいかもしれない。

相関の式