SPSSで学ぶ医療系データ解析/SPSSでやさしく学ぶアンケート処理

SPSSを使った統計学の本。統計学に苦手意識をもっている人は多いようだ。「入門書」を買っては挫折したことが何度もある、という人も少なくない。実際、書名に「やさしい」とか「わかりやすい」とか入っている本がたくさんある。そういう本のうち、医療系の人が使いやすそうな本を2冊。

SPSSは代表的な統計処理のソフトウエアのひとつ。高価なソフトウエアだが(教育機関割引きでも数10万円から)、大学がサイトライセンスを持っていることが多い。本学にもある(学内ネットワークにつながっていれば使える)

平均、標準偏差、t検定など、正規分布に基づいた処理ならExcelの標準機能で簡単にできる。けれども、医療系の研究でありがちな、データがアンケートの選択肢だとか、多数の項目の関係を調べたい、将来予測をしたい、となると統計専用のソフトウエアが必要になってくる。

Rなら無料でいろいろなことができるはずだけれども、R自体の習得が難しい。SPSSはGUIが備わっていて、どういう処理をしたいかがわかっていれば、簡単に扱える(Rよりは)。

『SPSSで学ぶ医療系データ解析』第2版

医療系でよく使われる統計処理のガイドブック。操作がSPSSに即しているので、ニーズがハッキリしていればすぐに役立つ。もとは医療系のユーザ向け講習会のテキストだったらしい。初心者が困りそうなポイントによく対応している。

内容は、SPSSの基本的な操作と基本的な統計学の理論に続いて、いろいろな統計処理に応じたSPSSの操作が具体的に説明される。

本と同じサンプルデータが出版社のサイトに用意されている。

もくじ:基本から、高度な処理まで

第1章はSPSSのGUIの概略。どこにデータを打ち込むか、どこで変数を定義するか、処理をするときはどこをクリックするか、Excelからデータを読み込むにはどうするかなど、基本的な操作がわかる。

SPSSの操作の基本

第2章と第3章は、基本的な統計学。大体知っているなら飛ばしてもよい。読んだとしても、知らないで済ませられる部分が明示してある。こういう見切りをつけるのは、初学者の苦手な部分だ。また、よくある疑問に対する答えが用意されていて助かる。

第2章から、分布のいろいろ
第3章から、パラメトリックとノンパラメトリックの使い分け。よくある疑問に答えている
「幸い理論は知らずしても結果は解釈できるので、心配はない」

第4章以降のそれぞれの統計処理は、SPSSの操作に基づいて具体的に説明される。いずれも、冒頭に目的や適用条件が明示されている。それをみて必要な説明を選び、その後の説明に従って操作していけば、結果を得られる。

適用の条件

『SPSSでやさしく学ぶアンケート処理』

治療効果の主観的評価など、医療の分野でもアンケート調査が必要なことは多い。アンケートのデータは普通の統計処理では扱いにくい。そういう統計に用途を絞った本。上手なアンケートの設計のしかたにはじまり、アンケートで使われる統計処理をするためのSPSSの操作が説明される。

もくじ
もくじ

アンケート調査で科学的に意味のある結果を出すには、その設計がとても重要だ。なにかアンケートをとろうというなら、それを知っておかないと後で処理に困るし、何か結果を出したとしても信用されない。

アンケートの計画のしかた

統計学自体の説明はほとんどない。アンケートの選択肢の処理ではノンパラメトリック法だ、といわれてわかる程度の知識があると、本書を使いやすいだろう。

各章の冒頭にその処理の目的が明示されている。ここをみれば、自分のデータに当てはまるのがどの処理かわかるようになっている。操作はSPSSに基づいているので、そのとおりやればよい。

相関分析:冒頭に目的が明示されている
操作説明は具体的
ノンパラメトリック検定
SPSSの操作
ロジスティック分析くらいまでの処理が載っている

SPSSをインストールするとJavaがシステムにインストールされる。Javaには脆弱性が少なくないFlashも避けているのにJavaが入るなんてと心配なら、仮想環境にWindowsをインストールして、そこにSPSSを入れる手がある。Windowsは本学のサイトライセンスが使える