2025年3月、篤志解剖全国連合会・日本篤志献体協会・日本解剖学会は合同で、献体解剖倫理指針を制定し公表した。献体の解剖において医学生や医師などの学習者が守るべき行動規範とその理由を明文化して示すものである。
群馬大学の解剖学実習および解剖見学実習に参加する学生らや、手術手技研修に参加する医師らも、これを正しく理解して実践することが期待される。
- 献体解剖倫理指針(日本解剖学会 2025.3.31)
ポイント
献体解剖倫理指針の最も重要なポイントを3つにまとめると、次のようになろう。
- 献体は無償・無条件の篤志行為であり、深い感謝と礼意をもって扱うべきである
献体は本人の意思と家族の同意に基づく善意の提供であり、その尊厳を最大限に尊重する必要がある - 解剖に関わる者は、実習内外で常に倫理的行動を求められる
実習中の態度(黙祷・私語の自粛・撮影禁止)、情報管理(SNS投稿の禁止)などを厳守し、公共の場でも慎みを持つことが求められる - 献体解剖は、人体の構造を深く理解し、医療人としての人格を育む学びの場である
人体の多様性を体験しつつ、科学的知識だけでなく、患者への敬意や倫理観も涵養される
参考
- 健全な解剖学教育・研究の継続のために -解剖体取扱い不適切事案の再発防止に向けて-(日本解剖学会 2024.2.2)
- 解剖体を用いた研究についての考え方と実施に関するガイドライン(平成3年改訂版)(日本解剖学会 2021.12.21)
- 臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン(日本外科学会 2018.4.6)
- 人体および人体標本を用いた医学・歯学の教育と研究における倫理的問題に関する提言(日本解剖学会 2013.8.1)