以下は2019年までの仕様です。参考のために残しておきます。2021年度は提出方法が簡略化されていますが、課題の骨子は同じです。
正常なものを実直に丁寧に調べられれば、それでよい
解剖の授業だから、そもそもそれが一番重要。病変があったら、それをネタに正常なカタチをより深く学んでほしい。病変や死因を調べる課題ではない。
死亡時画像検査結果報告書にとらわれがち
死亡時画像検査結果報告書を書いたのは専門医で、正常構造はすでに熟知しており、病変の診断を主な業務としている。そのため、この報告書には異常かもしれない所見がこまかく記載される。
しかし、それらが医学的・解剖学的に大切かどうか(レポートのネタとして興味を引くかどうか)は、考察しないといけない。
- 老化は重要ではない
- 動脈壁の石灰化は普通にみられる;大動脈瘤など顕著な病変になっていれば別
- 死後変化、防腐処理による変化は課題の対象にならない
- 肺には固定液が多く浸潤する。CTに「浸潤影」として生前の状態や死後変化が写っていても、解剖体ではその状態は上書きされて判定しかねる
- 解剖しても死後CTでも判別困難
- 肺水腫と肺炎の違いなど、肉眼所見では判定できない(気管支内異物など誤嚥がわかれば別)
一方、死亡時画像検査結果報告書と実際とに相違があって、それが重大なものなら、取り上げる価値がある(読影医が課題をみて参考になるから)。
- CTでは映りにくい病変(出血はわかるが梗塞はわからない)
- 液体の区別(組織液なのか膿なのか)
- 色、硬さ、触った感じ(腫瘍かどうか)
図の様式
科学論文の付図の形式で、組み図をつくる。
- スケッチとCTを比較しやすく並べる
- それぞれに「a」「b」…とアルファベットを振る
- 着目点や目安になる場所に矢印、矢尻、アスタリスクなどの記号を付ける
- 形で区別する。色調では区別しない
- 図の向きを示す(上下、左右、背腹など)
- 図の下に図の説明文(キャプション)を付ける
- タイトルと簡単な説明
- 「a」「b」…が何か、図中の記号が何かを全部説明する
このような図の作り方は、科学論文で求められるもの。図書館で英文誌の論文をいくつかみよう。論文ではユニバーサルアクセスを求められる。
科学論文の図のラベルの例
矢印、矢尻、略語を使って(Møllgård, K., et al. (2017). Scientific Reports, 7(1), 11603. http://doi.org/10.1038/s41598-017-11596-0)
サンプル
- 共有ドライブに過去のCT課題の高評価のサンプルがある。過去の課題は論文形式になっているが、図の部分は参考になるだろう。
アイキャッチ画像の出典:The PHD Movie “That’s the whole point…”