エッセンツァ人体解剖学アトラス

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南江堂
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『エッセンツァ人体解剖学アトラス』は、イタリアのedi-ermes社の解剖学アトラス。イタリア語原著と英語版があったが、日本語版がでた。

もとは系統解剖学のテキスト(3巻組み)があり、局所解剖学のテキスト(1巻)、それらからイラストを再編して1冊にまとめたアトラス(1巻)が製作された。ドイツのThieme社の解剖学書と同じ考え方だ。

全部をまとめてデイパックに入れたAnatomy Bag Plusというのもある。商品名だけで思わずポチりそうになったが、価格をみて思いとどまった。

本書はこのうちのアトラスの英語版を翻訳したもの。日本語版タイトルの「エッセンツァ」は、英語なら「Essential」。

edi-ermes社のテキストはAmazonではあまり扱われていないらしい。日本語版になり、医書.jp版もあって入手しやすくなった。ここでは医書.jp版をみた。

構成は、総論、局所解剖、神経解剖の並びになっていて、医学科の解剖学の授業でも使いやすい。図はクリーンで細密だ…

…というようなアトラスはマーケットには他にもある。それなら、マーケットに新たなアトラスを追加するポイントは何か? それは多分、いままでになかった視点を提供することだろう。「視点」は比喩ではなく文字通りの意味の「視点」だ。

今も続いているアトラスにはそんな図が加わっている。例えば『ネッター解剖学アトラス原著第7版』なら図63「顔面深部の血管と神経」。顔面骨の前部をスライスし、翼口蓋窩を通る神経と動脈を一望できる。

本書なら例えば、椎骨動脈を含む前頭断面。その側には、椎骨動脈が硬膜を貫いて頭蓋腔内に入る場面も描かれている。このあたりは解剖学実習でちょうど章立ての境にあたり、アプローチせずにしまう部分だ。そういう局面をアトラスで学べるのがいい。

胸部の章をチェックしよう。

胸壁の筋、とくに肋間筋は、着く場所と向きが働きを考えるときに重要になるわけだけれど、リアルなイラストと起始停止を腺で表したイラストとが対応されていて、わかりやすい。肺動脈の分岐のまとめの図、リンパ流路のまとめの図、神経叢と脊髄レベルのまとめの図も、他のアトラスにないわけではないけれども、わかりやすく整理されている。CTなどとイラストとの組合せも、効果的によくできている。

本書には謎がある。 各章の扉絵は何? 検索すると、扉絵を描いたのは、ギリシャ生まれでイタリアで活躍したシュールレアリストの画家、Petros Papavassiliou(アテネ 1928年12月6日 – ミラノ 2014年9月12日)。でもなぜこの作家の絵なのかはわからなかった。