抗原検査は感染をどこまで捉えるのか — 前向き研究レビュー
冬になるとインフルエンザや新型コロナウイルス感染症が流行する。本学の解剖学の授業は後期にあるので、出席停止になることが少なくない。冬期休暇後の流行も懸念される。
医院や病院にかかる機会も、感染の検査を受けることもあるだろう。出席停止措置にかかるかどうかも心配になりがち。検査に関する論文をレビューしておこう。(図は直リンク)
Chu, Victoria T, Noah G Schwartz, Marisa A P Donnelly, et al. 2022. “Comparison of Home Antigen Testing With RT-PCR and Viral Culture During the Course of SARS-CoV-2 Infection.” JAMA Internal Medicine 182 (7): 701–9. https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2022.1827.
- 何を調べた?
- 新型コロナウイルス感染症の発症後の時間経過によって、家庭用の抗原検査キットの検出率がどう変化するか
- 方法は?
- RT-PCRで感染を確認した成人と子ども225人について、前向きコホート研究を実施した。
- 結果は?
- 同時に実施したRT-PCRと比較すると、抗原検査の感度は64%
- ウイルス培養と比較すると84%
- 抗原検査の感度は発症後4日目がピーク
- 最初の抗原検査から1〜2日後の抗原検査では感度が改善された。
図1 逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)-確認された感染の参加者におけるSARS-CoV-2陽性検査の1日の割合

RT-PCRでSARS-CoV-2感染が確認された225人の参加者のうち、RT-PCR検査、家庭用抗原検査、およびウイルス培養の陽性率と95%信頼区間の推移。症状の出た日を発症日とする。無症状の場合、発症日は最初にRT-PCR陽性になった日とする。(見どころ:それぞれの検査の感度と、どの時期の感度が高いか。抗原検査は発症日は感度が低いが、4日後にピーク。しかしRT-PCRでみると、発症前からウイルスは出ている)
図2 症状状況とワクチン接種状況による陽性家庭抗原検査の1日の割合

A. 症状の有無による抗原検査の陽性率の推移. B. ワクチン接種の有無による抗原検査の陽性率の推移(みどころ:無症候性やワクチン接種済だと陽性率は低い)
図4 3つの家庭用抗原検査プロトコルの毎日の感度

A. 抗原検査を1回だけ(プロトコル1)、2日続けて2回(プロトコル2)、1日空けて2回(プロトコル3)実施した場合の、陽性率の推移. B. プロトコル2と1、プロトコル3と1の陽性率の差の推移(みどころ:発症日に陰性のとき、翌々日にまた検査すると3割以上陽性率が上がる。時期が遅れて陰性の場合は、2回目の検査でも陽性率の向上はあまり期待できない)
新型コロナウイルス感染症やインフルエンザについては、診療ガイドラインが公表されているので、参照されたい。検査するかどうか、治療薬を処方するかどうかなど、エビデンスや臨床的な状況をみて医師が判断する。本記事は、Shared Decision Makingの参考に。
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