令和医療手技図譜 管モノ編改

ねじ子先生から夏コミの新刊をいただいた。医療手技図譜シリーズの「管モノ編」の改訂版である。

初版が2007年なので、18年を経ての改訂。その間の新しい器具やガイドラインがあっての改訂である。初版を愛読していたらゲットしないとだ。

 

表紙〜裏表紙

 

主な変更点と追加は次の通り:

  1. キシロカインゼリーはつかわず、局麻剤の入ってない潤滑剤をつかう
  2. 尿カテは鉗子でつままず、手で持つ
  3. チューブホルダー、ビデオ喉頭鏡、ラリンジアルチューブを追加
  4. 経管栄養、摘便を追加

 

「改」の前説

 

キシロカインゼリーは使わないよ

 

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気管内挿管をみてみよう。緊急でやることも多いので、よく読んで練習しておこう。本学ならスキルラボに練習用のモデルがある。

 

気管内挿管は、まず姿勢から

 

ビデオ喉頭鏡もある

 

喉頭鏡って10年一日のように変わり映えせず、スイッチの接触がわるかったり電池切れだったり肝腎なときに使えなかったりもあったけれど、ビデオ喉頭鏡というのが最近はある。喉の奥がむりなくみえるし、モニターを繋げばみんなで見られるので、より安全じゃなかろうか(下記)。

 

チューブホルダー(左下)、挿管のコツ(喉頭蓋をぺろろんとする)

 

次にありがちなのが、尿道カテーテルの挿入。清潔手技なので、まず手袋の装着から。考えながらやればいいのだけれど、急ぐことも多いので練習が重要だ。

 

滅菌手袋の装着

 

医療関係者用の商業誌ではなく、コミケで販売するミニコミ誌なので、いろいろ規制がある。そのあたりがふきだしになっていて、あれこれかかれている。なんかおもしろい。

 

規制がふきだし(笑)ここは男性用の手技

 

摘便

 

はず、なんだが…ムリは事故の元

 

(以下、ChatGPTによるまとめから抜粋)

ビデオ喉頭鏡(VL) vs 直視型喉頭鏡(DL)

成人の気管挿管において、ビデオ喉頭鏡(VL)は直視型喉頭鏡(DL)と比べ、初回成功率の向上と重大誤挿管(食道挿管)・低酸素の抑制を示すエビデンスが蓄積している。特に救急・ICUではNEJM多施設RCTで初回成功85.1% vs 70.8%、Critical Careメタ解析でRR 1.12と効果が明確であり、手術室の大規模クラスターRCTでも複数回試行1.7% vs 7.6%と有利であった。Cochraneレビューも機種別に失敗挿管・低酸素・食道挿管の低減を支持する。VLはガイドラインでも主要ツールとして位置づけられる。

設定 研究(発表年) デザイン / N 主要アウトカム 結果(VL vs DL) まとめ
手術室(幅広い成人) Cochrane 更新SR(2022) 219 RCTs、n≈26,000超(成人) 失敗挿管、低酸素、食道挿管 失敗挿管↓:ハイパーアングルRR 0.43、チャンネル型RR 0.47/低酸素↓:チャンネル型RR 0.28/食道挿管↓:ハイパーアングルRR 0.41 全体としてより安全で成功率が高いリスクプロファイル。機種別の差あり。
手術室(心血管系手術中心) JAMA クラスターRCT(2024) 単施設・多期間クロスオーバー/n=7,736患者(8,429手術) 主要:挿管試行回数/副次:失敗、傷害 複数回試行:1.7% vs 7.6%/挿管失敗:0.27% vs 4.0%(RR 0.06)/傷害差なし 初回成功↑・失敗↓。ハイパーアングルVLを標準化運用。
救急/ICU(重症成人) NEJM DEVICE RCT(2023) 多施設(ED10/ICU7)RCT/n=1,417 初回成功(一次)、重篤合併症 初回成功:85.1% vs 70.8%(絶対差+14.3%)/重篤合併症:差なし(21.4% vs 20.9%) 初回成功を有意に改善。患者向け安全指標は同等。
救急/ICU(重症成人) Critical Care メタ解析(2024) 14 RCTs、n=3,981 初回成功、食道挿管、誤嚥 初回成功↑:RR 1.12(1.04–1.20)/食道挿管↓:RR 0.44/誤嚥↓:RR 0.63 成功率改善+重大誤挿管の抑制を支持。
ICU(注意すべき反例) JAMA MACMAN RCT(2017) 多施設RCT/n=371 初回成功、合併症 初回成功:67.7% vs 70.3%(差なし)/重篤合併症:事後解析でVL多い可能性 早期のICU RCTでは有意差なし。術者経験や運用差の影響示唆。
ガイドライン ASA 困難気道GL(2022) 公式GL(多学会協働) VLの位置づけ 現代アルゴリズムでVLを主要ツールとして推奨 実装面での標準機器。

:CochraneのRRは機種別(ハイパーアングル/チャンネル型など)の代表値。詳細は本文/補助表に記載あり。

参考文献

  1. Cochrane 2022:Videolaryngoscopy vs direct laryngoscopy in adults(設計別RRを多数掲載)。 

  2. NEJM 2023(DEVICE):VLで初回成功85.1% vs 70.8%、重篤合併症は差なし。 

  3. Critical Care 2024 メタ解析(ED/ICU RCTs):初回成功RR 1.12食道挿管RR 0.44誤嚥RR 0.63 

  4. JAMA 2024 クラスターRCT(OR):複数回試行1.7% vs 7.6%/失敗0.27% vs 4.0% 

  5. ASA 困難気道ガイドライン 2022:VLを主要手段として推奨。 

    (参考:反例)JAMA 2017 MACMAN(ICU RCT):初回成功は差なし、事後解析で重篤合併症増の示唆。 

 


 

紙面の画像の掲載について、ねじ子先生から包括許諾をいただいています。