論文に出る遺伝子 デルジーン300

論文に出る遺伝子 デルジーン300 PubMed論文の登場回数順にヒト遺伝子のエッセンスを一望 (実験医学別冊)
大学受験対策の英単語集のベストセラーには、時代ごとの変遷がある。
大学入試対策向けの英単語集は、1940年代の『英語基本単語集』(通称「赤尾の豆単」)から始まった。1967年に森一郎氏の『試験にでる英単語』(通称「でる単」「しけ単」)が登場して広く支持を集め、「赤尾の豆単」を退けた。これをみて旺文社は1984年に『英単語ターゲット1900』を投入した。1992年にはZ会が『速読英単語』が初版を刊行して受験生の支持を得た。現在は、『英単語ターゲット1900』と『速読英単語』がよく選ばれるようだ。
「赤尾の豆単」はちいさな英和辞書のようであり、単語はアルファベット順にならんでいた。不定冠詞の「a / an」から覚えなければならず、一周するまでモチベーションを保てた受験生は稀だった。
「でる単」はこれを変えた。大学入試の過去問から出題順に単語を1800語選抜して並べ、語意も出題されたものに絞った。前から順に覚えていって3分の2くらいでイヤになっても、まあ大丈夫だった。暗記のためのフックとして、語源をつかっているのもよかった。
単語を暗記しただけでは、英文をスラスラ読めるとは限らない。実際それを悩む受験生は少なくなかった。そこで『速読英単語』は短文の文脈の中で重要単語を覚えていく方法をとった。英文読解の力をつけるのによかった。
そういうわけで、「デルジーン」のだじゃれが響いた人は、1970年代から1990年代に「でる単」で大学受験を経験したひとたちになるだろう。さらにいうと、名古屋を境に東側で「でる単」、西側で「しけ単」と通称されることが多かったらしいので、東側のひとだろうと思われる。現在は東広島市西条の酒どころに近い広島大らしい。

序文

西条で

編者(写真は西条の酒造所ではなく、小豆島の醤油メーカー)
「でる単」と同様、「デルジーン」でも遺伝子のコーパスデータから300の遺伝子を選抜した。これを16名の研究者が分担して執筆した。
ただしヒトの遺伝子に限っているので、専門とする分野が違うと、場違いな感じがする。例えば発生生物学であれば、hoxやshhやwntやemxやslitやsryがない(bmpはあった)。
逆に、ヒトや医療の分野で何がよく調べられているのか、動向が分かっていいともいえる。

遺伝子の選抜

執筆者
300の遺伝子は100ずつに分けられ、3部構成で本ができている。
1位〜100位の遺伝子は、1ページに1つずつで、パスウエイの図解入り。他の遺伝子も交えた文脈の中で遺伝子を覚えられるので、速読英単語っぽくもある。101位〜200位、201位〜300位の遺伝子は1ページに2つずつで図解は略。
それぞれの部分の後に1つずつ、計3つ、クイズがある。遺伝子名とたんぱく質名との対応付けだ。

1位〜100位

101位〜200位

201位〜300位

クイズ
紙面の写真の本記事への使用について、羊土社様より許諾いただきました(2025年5月8日)
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