からだのトリビア教えます

人間は無用な知識の数が増える事で快感を感じる事ができる唯一の動物である — SF作家 アイザック・アシモフ(1920–1992)
— フジテレビ系列の番組「トリビアの泉〜素晴らしきムダ知識〜」の冒頭である。「トリビアの泉」は2002年に深夜枠で始まり、2003〜2006年にゴールデンタイムに移ってから、番組内で使われる「へえ」が流行語大賞にノミネートされるほどの人気を博した。2007年〜2012年には特別番組が計8回放送された。
ちなみに、ゴールデンタイム初回放送では、翼口蓋神経節が登場するも、へえ数はあまり伸びなかった。
羊土社の研修医向けの雑誌「レジデントノート」の連載「こんなにも面白い 医学の世界-からだのトリビア教えます」が始まったのは、2014年。「トリビア」ということばはもう定着していただろう。連載は「レジデントノート」のサイトでも全話読める。
授業やら何やらのネタ元として、Part 1からお世話になっている。先日Part 3がでた。
筆者は、移植外科、NIH基礎研究のPIを経て、大学で救急医学を主管する。救急はエビデンスに基づいて判断し処置しないとなので、リサーチマインドがおいてけぼりになりがちだという。だから、本書の根本は、若者よ!リサーチマインドを抱け!という激アツなやつなのかもしれない。でもよく冷ましてあるから、楽しく読めて、ネタになる。筆者が現場から拾った話題をフカボリというか、斜めボリしてある。
各巻1話選んでみよう。
あるあるネタから、〆のラーメン。たべたくなるよね〜というところからアルコール性低血糖にもっていく。そういうひとがよく救急に運ばれてくるんだろうな。
医学書としての矜恃として、参考文献がちゃんと載っている。
サウナによる熱ストレスでHSPが更新する話は、熱中症の話題でオチる。これも救急ならでは。
医療関係者のヒゲが感染源にならないか、の話題。強面のためというのは、ナメられないという実用性は確かにあるだろう。
評者も、ヒゲの上からN95をつけて意味あるのか?と思った事はある。ChatGPTで検索してみよう:コロナ以前から議論はあり、CDCの記事などみつかる。コロナを期に改めて議論になった。3Mでは推奨されない。「ヒゲカバー」が効果的との報告がある ……筆者のあごひげは、巻末の肖像写真でみられる。Part1当時の写真なので、今どんな感じかは他で。
各話題に1点ずつあるイラストが味わい深い。
評者のおきにいり(直リンク)↓
紙面の写真の本記事への使用について羊土社様より許諾いただきました(2025年2月28日)。
コメントを投稿するにはログインしてください。