ソニー モニターヘッドホン MDR-MV1

 

勉強や作業しているときに音楽を聴いているひとは多い。

筆者がペンシルバニア大学に留学したとき、その研究室のGuruの院生が「No Music, No Life」というひとで、実験室に大きなラジカセを持ち込んで、大音量でオルタナティブを流していた。研究室には廊下を挟んで実験室が2つあり、北側の実験室に院生とポスドク、南側にファカルティがいて、PIのオフィスは南側にあった。PIはクラシックのひとだったので、大音量のオルタナティブはやめてもらいたかったようだが、Guru君はちゃんと研究をしていたので、みのがされていた。筆者も最初はびっくりしたけれども、じきに慣れてしまった。ちなみに、米国人のほとんどはちゃんと気遣いできて、Guru君のようなひとは珍しい。Guru君もその辺はわかっていたし、社交的なナイスガイだった。

ペンシルバニア大学にはキャンパス内にラジオ局がある。ひとつは、WXPNで、卒業生とボランティアが運営している。もうひとつは、WXPNからスピンオフし、学生だけで運営している WQHS 。Guru君のお気に入りはWXPNだった。ときどき流れる「ダブリュ・エクス・ピー・エ〜ン」というコールサインが懐かしい。いまはネットでも聴ける。

BGMが学習に与える影響についての研究は少なくない。しかし、どうやら定説に至っている感じではない。最近のシステマティック・レビューの2本のうち、一方はBGMは学習に有害で、歌ありの方が歌なしより有害とされた。もう一本のシステマティック・レビューでは、弱〜中程度の正の相関があり有益で、クラシック音楽の方がよいとされた。システマティック・レビューで結果が正反対になるというのは、要するに、実験方法を統一して研究し直さないといけない、ということのようだ。

  • Cheah, Yiting, Hoo Keat Wong, Michael Spitzer, and Eduardo Coutinho. 2022. “Background Music and Cognitive Task Performance: A Systematic Review of Task, Music, and Population Impact.” Music & Science 5: 20592043221134392. https://doi.org/10.1177/20592043221134392.
  • Velasco, Efrén de la Mora, Yuting Chen, Atsusi Hirumi, and Haiyan Bai. 2023. “The Impact of Background Music on Learners: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Psychology of Music, 030573562311530. https://doi.org/10.1177/03057356231153070.

というわけで、エビデンスがちゃんと示されるまでは、インスツルメンタルのクラシックっぽい音楽を聴いていたらいいんじゃないだろうか。

Guru君のようにBGMにラジカセを鳴らせられる環境になければ、イヤホンやヘッドホンを使うことになる。ワイアレスで、ノイズキャンセリング付きのが、リモートで授業や会議するのに便利だったので、コロナの始まりのころに慌てて買った人もいただろう。そんなAirPods Proが、半日の授業の途中でバッテリー切れになって慌てたのが思い出される。オンデマンド講義用に音声入りの動画を制作するときにも、イヤホンやヘッドホンは必須だった。解剖英単語の教材を製作したときも、ヘッドホンを使った。

一方で、ロスレスの音源をちゃんとした音で聞きたい人もいる。ヘッドホンの種類に、モニターヘッドホンというのがある。音楽スタジオで音のチェックに使われるヘッドホンだ。日本のほぼデファクトスタンダードが、ソニーのMDR-CD900ST。テレビやミュージックビデオで演者が付けているのをよくみかける。しかし、現代のロスレスや空間オーディオ以前の設計なので、そういうのには合わなくなってきているらしい。そういう用途に設計されたのが、密閉型のMDR-M1STや、開放型のMDR-MV1だ。

MDR-CD900STは音楽をぼうっと聴くには聴き疲れしがちな音だったけれども、新しいモニターヘッドホンはそういうところが改善している。ハウジングを回転して平らにできたり、ふつうの用途でも使いやすくなった。ケーブルを簡単に交換できる。DAT内蔵のケーブルを使えば、スマホでも使える。

音質については、聴いてみてビックリした、というくらいにしておこう。詳しくは、ネットにレビュー記事がたくさんみつかるので、そちらを。

 

MDR-MV1。開放型なので、ハウジングに穴がたくさん開いている

 

ケーブルを交換できる

 

付属のケーブルとアダプター

 

耳当ては起毛でふかふかで、耳が痛くなりにくい

 

ヘッドバンドも柔らかい

 

耳当ては縁を引っ張ると簡単に外せ、新しいものと交換できる

 

ねじ組みで組み立てられていて、折れたりしても交換して直せる

 

持ち歩きにはケースがあるといい。サードパーティ製にピッタリ収まるのがあるが、ケーブルは外さないといけない。

 

サードパーティ製のケースに入れる