第117回医師国家試験の合格状況

2023年3月16日14時に第11回医師国家試験の合格者が発表された。文部科学省やTECOMなど公表のデータをもとにまとめた。

大学別合格率

新卒者と既卒者の合格率(合格者数/受験者数)をグラフ化した。新卒全体の合格率は96.2%になる。

正味新卒合格率(合格者数/志願者数)も重ねた。国試志願のあとに卒業試験で受験者を選抜すると、合格率が上がる効果がある。

既卒者は合格率が低下する。大学がそれをどうサポートするかは課題だ。

大学別歩留まり

 

 

入学者のうち国試に合格するのがどのくらいかの目安のため、過去11年分の集計をもとに歩留まり(第107~117回の合格者総数 / 2007~2017年度の入学定員総数)をグラフ化した。追跡調査ではなく、実際の入学者数は公表された定員とは異なることがあるので、推測以上ではない。全体で96.8%になる。

 

国試留年回数別合格率

 

 

既卒者の合格率は受験回数が増えるごとに低下する。受験者数の軸が対数であることに注意されたい。

 

国試合格率などの年次推移

 

 

第1回以降の国試合格率と受験者数の年次推移をグラフ化。

年複数回の試験はまとめて集計した。第2回(1946年)から第78回(1983年)までは年2回国試が実施された。1968年は3回あった。これは、1967年のインターン制度廃止を求めた国試ボイコット(実際に受験したのは全体の13%、404名)の影響である。

1970年代は相次ぐ新設により医学部の数が倍増、合格率が低下した(Internet Archive)。現在の国試は半相対評価なので、制度的に大きな変動は生じにくい。第93回〜94回(1999〜2000年)の合格率低下については、出題方針の変更への対応不足が指摘された。

 

男女別合格率、合格基準、設立年

 

 

男女別では、女性の方が恒常的に合格率が高い。相対評価の部分の合格基準が上昇傾向にある。問題自体の難易度が一定だとすれば、受験者の受験スキルが全体的に上がっていることになる。「みんながやっているようにやる」のが重要だろう。

 

 

設立年と歩留りとの相関はない。