UPSを買う
- 大切なこと矩形波出力のUPSを避ける
- OSが対応しているのを買う
- バッテリーを引き取ってくれるか確認する
群馬県は夏の雷が多い。上毛かるたにもある。群馬県に連なる山地の影響という。
雷鳴が聞こえると心配なのが、落雷による停電やサージ電流。デスクトップパソコンなら停電はデータロスにつながるし、サージによる電子機器の故障はデスクトップでもノートでも同様。夏期はエアコンの負荷が増えてブレーカーが落ちるリスクも増す。
無停電電源装置(UPS)があると安心だ。UPSには多数の機種がある。大手3社をみてみよう。
選択のポイント:
- 正弦波出力か
- 使っている機器を停電時に必要なだけ長く保護できるか
- 停電時に自動的にパソコンをシャットダウンできるか
- 電池交換時、UPSの廃棄時に無料で引き取ってくれるか
安価な製品では停電時の出力波形が矩形波なのがある。PFC回路が入った電子機器には矩形波で故障したり動作が不安定になるものもある。PFC回路は、デスクトップパソコンの内蔵電源や、出力75W以上(LED照明用は5W以上)のACアダプターにもPFC回路に使われている。矩形波でも大丈夫かどうかはパソコンメーカーは公表していない。正弦波の出力のを選ぼう。
PFCは、力率改善の意味。交流電源の場合、入力した電力の一部だけが実際に使われる。その割合を力率という。AC/DC変換回路によって生じる交流の電流と電圧の位相ずれが、力率を低下させる。力率が低下すると、電力の一部が電力線側に戻ることになる。効率低下(電力料金のむだ)になることよりも、電子機器の電源の発する高調波が電力線側に戻ることが問題になる。というのも、送電設備の損傷のリスクになるのだ。それを防ぐ規制があって、電源にPFC回路が使われるのはそのため。そのPFC回路は正弦波入力を前提にしており、矩形波では正常に動作しないか故障する恐れがある。
パソコンのシャットダウンに要する数分間は、停電時に電源を確保したい。接続する機器の電力の合計が最大出力を超えないようにする必要もある。
停電時にはパソコンを自動的にシャットダウンさせたい。macOSやWindowsはOSレベルでその機能がある。それに対応するUPSを選択したい。UPSがそれに対応していない場合には、各メーカーの専用ソフトのインストールが必要になる。そのソフトウエアが使っているパソコンに対応しているか要確認。OSのアップグレードで専用ソフトがつかえなくなることがある。
UPSの電池は鉛蓄電池で、数年で消耗する。しかし、行政のゴミ収集では引き取ってくれない。「廃棄物の処理および清掃に関する法律」で「特別管理産業廃棄物」に指定されていて、むやみに廃棄できない。メーカーで無料引き取りしてくれるかが、メーカー選択で重要になる。他社製品でも引き取るメーカーもある。
APC、CyberPower、オムロンとでほぼ同じスペックの製品をみてみる。
APC(エーピーシー) 無停電電源装置 UPS ラインインタラクティブ給電 長寿命バッテリー 正弦波 3年保証 BR550S-JP
- 正弦波出力、蓄電容量 550VA、定格電力 330W、最大負荷時バックアップ時間 2分 55秒、バックアップコンセント×3、サージ保護コンセント×3、運転状態を示すディスプレイ
パソコンがMacならAPCの製品を選ぶのがよい。UPSとMacとをUSBケーブルで接続するだけで、OSがUPSを認識して自動シャットダウンの設定ができるようになる。追加のソフトウエアは不要。
WindowsもOSがUPSを認識して自動シャットダウンの設定ができるようになる。追加のソフトウエアは不要(メーカーのソフトウエアをインストールすることもできる)。
本機には、Ethernetをサージから保護する機能もある。
APCはバッテリーの無料引き取りは提供しているが、UPS本体、他社製のバッテリーには対応しない。
APCは、American Power Conversion Corporationとして1981年に米国で設立され、ドイツ発祥で現フランスに本社のあるシュナイダーエレクトリックに2007年に買収され、ブランド名として残る。
- 正弦波出力、蓄電容量 500VA、定格電力 300W、最大負荷時バックアップ時間 3.5分、バックアップコンセント×6、運転状態を示すディスプレイ
MacではUSBケーブルで接続するだけで、OSがUPSを認識して自動シャットダウンの設定ができるようになる。追加のソフトウエアは不要。
WindowsもOSがUPSを認識して自動シャットダウンの設定ができるようになる。追加のソフトウエアは不要(メーカーのソフトウエアをインストールすることもできる)。
同社のバッテリー、UPSの引き取りに対応している。買い換え時の他社製品にも対応。
CyberPowerは1997年上場の台湾のUPS専業メーカー。製品はAPSやOmronよりも安価。医療グレードの製品もある。
- 正弦波出力、蓄電容量 550VA、定格電力 340W、最大負荷時バックアップ時間 3.6分、バックアップコンセント×4、運転状態を示すディスプレイ
自動シャットダウンは別途、専用ソフトのインストールが必要。WindowsやLinuxには対応するが、macOSは10まで。
Omronは、バッテリー、本体の引き取りに対応している。Omron製UPSを購入すれば、他社のUPSやバッテリーの引き取りにも対応する。
Omronは京都に本社のある1933年創業の日本のメーカー。
コメントを投稿するにはログインしてください。