WEEK9 Day2 骨盤腔・膀胱〜・内腸骨動脈と仙骨神経叢・骨盤隔膜

終了条件

・陰部神経をS2-S4から出るところから下直腸神経に分岐して外肛門括約筋に入るところまで示せたら終了(肛門三角は2日、骨盤腔は9日)

アルコック管(陰部神経管)は開放する(後述)

・男性班:射精管の開口部

・女性班:子宮円索全部(子宮体ー大陰唇まで)

 

スケジュール

午前の解剖は10時半まで。10時半からは女性班は男性班へ。男性班は女性班へ行って観察を行う。必ずグラントを持参して、手順通りに解剖したつもりになって1つずつ部位・構造を確認してください。

終了したら適宜昼休みへ。小テストは13時から。解剖実習室でやります。

 

解剖の注意点

腹膜や静脈を除去する際に神経を一緒に持っていかないように気をつけましょう。

男性の内⽣殖器 尿道綾:切断⾯は往々にして正中ではありません。遺体の右側にない場合は左側で探しましょう。

女性の内⽣殖器 手術した形跡のある班がありますので、そのような班は他の班に見せてもらってください。

膀胱 ごく稀に尿管を誤認している班があります。腎臓から来るか⾒ればすぐにわかります。

内腸⾻動脈 内腸骨動脈からの分岐はバリエーションがとても多いです。同定するべき動脈は全て内腸骨動脈から分岐しますが、最初の分岐後にすぐに複数の分岐を持つ場合も多いので、そのうちの1本でも目的の臓器や筋肉へ行くことを確認できればOKです。静脈は除去して構いません。

仙⾻神経叢 座学(講義プリントやグレイ)をきちんと理解できていないと剖出できませんので、まずは班員同士でよく確認すること。骨盤内臓神経とは?仙骨内臓神経とは?下腹神経とは?交感神経幹とは?灰白交通枝とは?

直腸神経叢と膀胱神経叢、子宮膣神経叢(前立腺神経叢)がどの程度離れているか、直腸や子宮を切除すると仮定した場合に、他の部位の神経にどの程度の損傷を与えそうかを観察してください。

⾻盤隔膜まで終わったら大殿筋を切る。グラントp168 1〜12の手順通りにやって大殿筋をめくり返す。陰部神経が大坐骨孔から出てくる領域が観察できれば完全にめくり返さなくてOK。手順13の下殿動静脈・神経以降は来週やってください。陰部神経管の開放はp122 7〜10。以上により陰部神経がS2-S4から出るところから下直腸神経に分岐して外肛門括約筋に入るところまでをできる限りきれいに剖出する。左側でやると、骨盤内外の観察が容易です。


グラント誤植(山本、関谷指摘)

p147左 手順12 卵管が子宮峡部に始まり → 卵管が卵管峡部に始まり


以下、様子メモ

15:00 答案返却

15:40 最初の班終了

17:00 残り12ほど(ヒントを出した)

18:00 残り4ほど

18:50 終了

14時過ぎまではいいペースできていたが、陰部神経の剖出でかなり苦戦した

・大坐骨孔梨状筋下方から出ていくものがわかっていないのが原因として多そう。例えば、下殿動脈と内陰部動脈を同定できていない班は全く見当違いの場所を解剖している(肛尾神経か何か)。

・神経叢は、自律神経を先に同定してからこれを除去し、体性神経に移った方が作業効率は良いかも。先に体性神経を同定するために下下腹神経叢を除去してしまう班もあった。逆に下下腹神経叢が残っている班は、S2~S4が全然見えていなかった。動脈の存在も班によってかなり作業効率を落とす。

・S2〜S4が合流して陰部神経になるところがはっきり見える班と、かなり深い部分にある班がある。極端な話、大坐骨孔を出てから(仙棘靭帯の下方で)合流する班がある。その場合、殿部から攻めた方が早い。

・S4から陰部神経は細いので切らないよう注意が必要。

・殿部から先に攻めさせると、下殿神経や坐骨神経を攻めてる班が多い。先週の内容(肛門三角)で下直腸神経が同定できてない。中間チェックが必要?

・骨盤腔は左、坐骨肛門窩は右で解剖した班もちらほら。結局統一してもらったが時間ロスなので、初日に左に指定する。右でやらなくてはならない理由のある班は配慮する。

・大殿筋を切らなくても楽に観察できる班もあり、かなり個人差がある

・仙結節靭帯を切ると剖出はかなり楽だが、小坐骨孔がなくなるので神経走行の学習にならない。切らないように予め注意した方がいい。

・今年度は坐骨棘との位置関係を確認させるのを失念した。