新訂 うまい英語で医学論文を書くコツ
医学生物学分野の原著論文は英語で記述される。英語以外で書いてもほぼ科学全体に貢献するチャンスはない。
日本人にとっては、英語を書くことと、科学論文のしきたりに合わせて書くことの二重の苦労がある。そのどちらも、そう簡単ではない。そのために、医学論文を書くためのガイドブックが多数出版されている。
本書はそのような本のひとつ。1991年の初版『うまい英語で医学論文を書くコツ』では英作文に重点が置かれていたが、この改訂版では論文そのものの構造もフォーカスされた。
もくじ(抜粋)
I 学術論文のうまい書き方
1.日本語の論文をいかにうまい英語に訳しても採用されない
2.論文採用基準の日米差
3.米英国の一流出版社の立場
4.原著論文を採択されるようにうまく書くコツ
5.採択されるように症例報告を書くコツ
II うまい英語での表現法
1.文法的和文英訳をしてはならない
2.うまい英語に意訳するコツ
III comfortable English 100本ノック─添削例の総合的解析
IV さらに,comfortable English 100本ノック─原文と訂正文の対比
付録1 対談 うまい英語で地球が狭くなる─アクセプトされる英語医学論文を書くために
付録2 よくみられる語,句の使用上の誤り
付録3 略語一覧
帯に「あなたの論文をゴミ箱行きにしないために」とショッキングなメッセージがある。一流紙に投稿されてくる論文は年間数千本にもなり、そのほとんど全てが採択されずに終わる。その多くが査読にもたどり着かないという。
いかに編集長に考慮してもらえるか、そのための論文の組み立て方が第一章だ。
第二章は、英語のネイティブにとって心地よい英語の書き方。筆者はこれをcomfortable English(うまい英語)と呼ぶ。最初は段落の書き方。段落については、英米のガイドブックにも強調されている。つまり、英語のネイティブだとしても最初からできるわけではない。だとしても、英米のガイドブックを呼んでも、実は今ひとつ納得のいかない気がする。
これはそもそも、英語で言うparagraphと日本語の「段落」の概念に違いがあるからだと、本書は気づかせてくれる。
Essentials of Writing Biomedical Research Papers. Second Edition (English Edition)
このような概念の違いは、個々の単語や熟語にもたくさんある。これらのうちの特に重要なものが本書では取り上げられ、「わるい例」を添削しながら解説していく。
医学論文でよくつかわれる動詞の言い回しについてより学ぶには、追って『ネイティブ発想の医学英語論文: プロ翻訳家が伝えたい50の基本動詞と読めるのに書けない英語表現』を読んで練習するといい。
アクセプト率をグッとアップさせるネイティブ発想の医学英語論文: プロ翻訳家が伝えたい50の基本動詞と読めるのに書けない英語表現
第三章と第四章は、いろいろなわるい例を添削しながら、うまい英語を練習していく。全部で200例ある。
付録には、本書の筆者とDr. ロビンスとの対談がある。ロビンス先生は、医学論文の書き方のガイドブックを書かれた。
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