Mall Probe

日本の解剖学実習では剖出にピンセットを使うが、米国ではプローブが多く使われる。『グラント解剖学実習』には「プローブ」とだけあり詳細がわからないが、Mallプローブというものだ。

 

Mallプローブ

 

微細な剖出には細いピンセットのほうが向いているが、Mallプローブは構造物を鈍的に結合組織から剥離するのに都合よい。長さ6インチで、ステンレス棒材から削りだし、先端を少し曲げてつくられている。米国では数ドルで売られているが、日本ではみかけない。本学では米国からまとめて購入し、実習生に貸与している。

フランクリン・P・モール (Franklin P. Mall, 1862–1917)

Franklin P. Mall (Wikipedia)

Mallプローブの名称は、このアメリカ人解剖学者の姓名に由来するらしい。モール博士はジョンズ・ホプキンス大学医学部で初代解剖学教授を務め、解剖学教育に改革をもたらした。彼は解剖実習の質を高めるため、遺体の防腐保存法を改良し、徹底した実習主導の教育を導入した(resources.ohiohistory.org)。