電子書籍をiPad Pro 12.9インチで使う
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iPad Pro 12.9インチで電子書籍アプリを使ってみる。試したのは、Elsevier eLibrary Reader、Inkling、Kindleほか。
医学の教科書は判型が大きくページ数も多い。しかも一学期で何冊も必要になる。もし電子書籍で手軽になるなら電子書籍を使いたいものだ。
サンプルに使った書籍は、『グレイ解剖学アトラス 原著第2版』と、その原著『Gray’s Atlas of Anatomy, 2e』。日本語版の冊子体にはElsevier eLibraryのデータをダウンロードできるコードが付いている。原著の冊子体にはStudent Consultのコードが付いている(Student ConsultはInklingのシステムを使っている)。日本語版、原著とも、Kindle版もある。
Elsevier eLibrary
エルゼビア社の教科書の多くに、Student ConsultまたはElsevier eLibraryの電子書籍をダウンロードできるコードが付属している。Student Consultは英語版だけだが、Elsevier eLibraryには日本語版もある。どちらが付くかは(あるいは両方付くかは)商品ごとの判断によるらしい。
Elsevier eLibraryの電子書籍はPDF形式なので、冊子体のままのレイアウトで表示される。iPad Proではほぼ冊子体とほぼ同じ縮尺になる。
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左がiPad Pro、右が冊子体。冊子体がアンバーがかっているのは照明のため
『グレイ解剖学アトラス 原著第2版』では見開きのレイアウトが多用されている。iPad Proを横に置くと見開きも再現される。画面が大きいので、見開きでも読みにくさはない。
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見開き表示
文字にはマーカーを入れられる。しかし、手書きの記入はできない。Apple Pencilが生かされず残念だ。
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マーカーを引く
アプリはiPad Proには完全には対応していない。iPad Airと同じ表示が拡大されるので、文字や線が多少ぼやけて見える。また、マーカーのポップアップメニューに不具合がでている。
Inkling
Inklingの電子書籍はリフロー型(Wikipedia:リフロー型とフィックス型)だ。リフロー型は画面サイズに合わせてレイアウトが調整されるので、小さな画面でもそこそこの表示になるのが利点だ。一方で、iPad Proの画面だと、多少間延びしてみえることもある。
Inklingの利点は図の解像度が高いことだ。本文中に図が挿入された表示では図が縮小されて少しぼやけて見えるが、図を単独で表示すると、冊子体と比較しても遜色なくなる。
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冊子体(左)とInkling版(右)
Inklingは本文中の文字にマーカーを引ける。ただし、図の中の文字には引けない。このアトラスの場合、ほとんど本文がないのでマーカーは役に立たない。また、手書きの線は入れられない。
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本文中の文字だけマーカーを引ける
Kindle
Kindleの電子書籍にはリフロー型のものとフィックス型のものとがある。どちらが使われるかは書籍による。マンガ、絵本、写真集、雑誌にはフィックス型が、その他にはリフロー型が使われることが多いようだ。このアトラスはリフロー型だ。
いずれも画像の解像度がInklingやeLibraryに比べて低い。小さな文字が読みにくいこともある。
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図の解像度が低い
リフロー型の本文にはマーカーを引ける。フィックス型や、リフロー型でも図の部分には、マーカーは引けない。
書き込みをする
冊子体と電子書籍とを比較して、電子書籍の劣っているのは自由な書き込みだ。
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本学の一卒業生の使った『グレイ解剖学』から
Apple Pencilは紙と鉛筆の筆記にかなり近いフィーリングが得られるが、現状ではApple Pencilで書き込みをするには、自分でスキャンしたPDFを使うしかない。
自分で冊子体をスキャンしてPDFにすると、ページの全面が画像になるので、データサイズが大きくなりがちだ。そのために、ページをめくるときなどの動作も低下する。電子書籍リーダーのApple Pencilへの対応を望む。
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