解剖アトラスは何がよいか

解剖アトラスには、イラストを使ったものと、写真のとがあり、一長一短だ。描くときの省略や強調があるため、イラストは見て構造を理解しやすい。写真は読みとるのに多少学習が必要だが、実地試験(解剖体や標本を素材にした試験)に向けた対策には写真の方が役立つ。文章が多いわけではないので、アトラスは英語版でもいい。その方が安い。

本書の特徴は、CGで描かれたイラスト。精緻で美しく立体感があり、見て理解しやすい。順を追って解剖が進んでいくなど、論理的にイラストが計画されている。本書は局所解剖学的に構成されているが、もともと系統別に構成された3巻のアトラスを再編したので、図は系統解剖学寄り。画像解剖学は含まれない。

イラストのアトラス。1943年から続いていて、図も各時代を反映し、彩色木炭画、彩色ペン画からCGまである。多少古くさいが、よくみると正確で、他にないような有用な図が多い。構成が論理的。図の解説が詳しい。日本語版が高価。原著最新刊のイラストはCGで再制作され、図の統一感が増した。

本書は写真のアトラス。類書の中で最も丁寧に精緻に解剖されていて、撮影技術もすばらしい。そのため、写真でも形の成り立ちがわかりやすい。第8版では医療画像が刷新され、有用性が増した。用語が番号で示されているので参照に面倒はある。

グレイ解剖学』第3版に対応するアトラス。図はコンピュータで描かれている。『プロメテウス解剖学 コア アトラス』より少し模式的だ。Elsevier eLibraryの電子版(日本語版のPDF)が付属している。

本書も写真のアトラス。すべての写真にスケッチが付される。用語やオリエンテーションがスケッチに記入され、写真の読み取りを助けている。教科書的な説明文もある。

本書の特徴は、手描きの水彩画だ。『プロメテウス解剖学 コア アトラス』に比べて図が局所解剖寄りで、リアルさがある。図にはそれぞれに見どころがあるが、配置された図と図の間に論理性が乏しいことがある。これはもともと別個に計画されたものを編集でまとめたせいかもしれない。電子書籍と別冊学習の手引きの付属したセット版もある。

アイキャッチ画像:Nancy Grahame Joy(1920-2013)、グラント解剖学図譜のイラストレーター