人体解剖カラーアトラス, 原著第7版

写真によるアトラスで、原著の現行の第7版の日本語版。原著の初版は1977年で、同様のアトラスであるAnatomy: A Photographic Atlasより歴史は長い。その間に様々なコントリビューションがあったようだ。古い写真には、標本の状態、解剖、撮影技術に優れたものが多い。
本書の特徴は内視鏡の写真が多く使われ、解剖と対比されていいることだ。
ただし、内視鏡写真にラベルが不足していて、内視鏡の経験がないと何がどう写っているのか分からないのも少なくない。
章末に臨床症例の画像の並んでいるページがある。これだけをみても何のことかわからないが、対応するコンテンツがStudent Consult版にある。本書の原題『McMinn’s Clinical Atlas of Human Anatomy』の「Clinical」の意味はここにある。他にビデオや練習問題も多数ある。
臨床症例 | 439 |
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ビデオ | 233 |
選択問題 | 188 |
短文記述問題 | 160 |
ただし、Student Consultが付いているのは原著だけで、日本語版には付属していない。日本語版の書名に「臨床」が入っていないのはそういうことだろうか。残念だ。英語でよければ、原著がオススメだ。価格も安い。
最近の写真には解剖技術を学ぶワークショップで撮影されたのがある。小型の照明1灯だけで、照明ムラ・影・反射が目立ち、被写界深度が浅すぎたり、紙面上の向きが変なのもある。解剖自体の丁寧さも、古い写真と比べて劣る。
脳神経のページでは模式図とそれに対応する解剖写真があり、役に立ちそうだ。ただし、図のラベルに誤りがいくつかあった。
まとめ:
- 解剖写真には良いのと悪いのとがある
- 内視鏡写真と組み合わされているのが良い。ただし説明が足らない部分がある
- Student Consultが付属していないので、原著ならみられる臨床症例など膨大なコンテンツが抜けている