エキスパートナース 2022年5月号

入職2年目のエキナスちゃんが、新任1年生たちに電カル入力を教えているらしい。

今月号の付録は、『ねじ子のヒミツノート – COVID-19自宅での感染対策編』。昨年春の新型コロナワクチン特集以来のねじ子先生だ。

この付録は、昨年の「冬コミ」にリリースされた『令和医療手技図譜 新型コロナウィルス感染症 自宅療養編』のアップデート版だ。オミクロンにあわせた調整がなされている。

イントロ部分の文字が大きくなって読みやすいし、カラー印刷になってゾーニングの図がよくわかる。

 

ヒミツノート(左)と令和医療手技図譜

 

ゾーニングが色付きになった(右)

 

今号の連載には、本学医学部附属病院が登場する。チーム医療や多職種連携は、だいぶ長く取り組んできたからなあ。

 

多職種カンファレンス

 

巻頭特集のテーマは、痛みの解剖生理学。

痛みを主訴とする症候の見極めの極意的なところはともかく、基礎医学的な部分は率直なところ難解だった。エキゾチックな論説がそうさせているようにおもわれる。

まず、自律神経系の定義。自律神経系は遠心性線維だけで、求心性線維は含めない。それで話しがスッキリする。古いテキストでは内臓由来の求心性シグナルを伝える感覚神経も自律神経系に入れていた。また現代のテキストでも、糸球体傍装置や頚動脈小体などのホメオスタシスに関わる受容体、管腔臓器の満腹感や尿意のもとになる伸展受容体からの求心性線維を自律神経系に入れてあることもある(CN9/10, Sを伝わる)。それでも実際に解説されるのは交感と副交感だ。

皮膚、体壁、壁側漿膜からの痛覚は、Aδで脊髄神経後根へ向かい、内臓や臓側漿膜からの痛覚は、Cで交感神経と同じ経路を逆走して後根へ入る。関連痛は、内臓の髄節と同じ髄節の体表に起こる。Aδは鋭く痛む。Cは鈍く痛む。初めは関連痛でも、炎症が体壁に及べばその場所の痛みになるので、痛みの場所が変化する(虫垂炎とか)。

 

 

関連痛のメカニズムは、現代の解剖学や生理学のテキストでは収束説で説明される。『グレイ解剖学』の説明がわかりやすいが、ここでは『カラー版 ベアー コノーズ パラディーソ 神経科学 脳の探求 改訂版』と『Guyton & Hall Physiology Review』の図をみてみよう。収束説のポイントは、体壁(皮膚や壁側漿膜)からの痛覚線維と、内臓(臓側漿膜)からの痛覚線維とが、同じ二次ニューロンにシナプスをつくる、ということだ。でどころはともかく最終的には同じ感覚野にシグナルが伝わるので、内臓由来の痛みの場所を体壁と思ってしまうのである。

『グレイ解剖学アトラス』にはより詳しい図がある。

 

「混線しそう」? ではなく…

 

同じ二次ニューロンへの収束、『脳の探求』より

 

『Guyton & Hall Physiology Review』より

 

『グレイ解剖学アトラス』から

 

膵臓を覆う腹膜が壁側腹膜と説明されていたが、これは臓側だろう。発生過程で前腸の回転に伴って後腹壁に膵臓が癒着したので。ちなみに、腎臓を覆う腹膜は壁側。腎臓はもともと後腹壁にできるから。そして、pancreatic背側面にはもとの臓側腹膜と壁側腹膜が癒着してできた層があって、腹腔動脈に沿って走る臓性痛覚の線維と肋間神経を上行する体壁の痛覚線維がある。