解剖学のカリキュラム

将来のカリキュラム改変に備えて、海外の解剖学教育のようすをみかけたらまとめていく。

欧米では、医学科は一般大学の卒業後の大学院のコースとして設定されていて、4年制が多い。

更新履歴

  • 2019/7/5 追加:Cleveland Clinic Lerner College of Medicine, St. George’s
  • 2019/7/4 追加:Christian Medical College Vellore;米国の現況
  • 2019/7/3 追加:Morehouse, Quinnipiac, Alabama
  • 2019/7/2 最初の投稿:Mayo, Toronto, Dundee, Harvard

北米

Mayo Clinic Medical School, USA

  • ブロックごとの集中授業
  • ブロック間に1週間の発展的自己学習期間
  • 解剖のブロックは6週間(2009年当時;現在は8週間)、120時間
  • 講義、全身の解剖実習、TBL
  • 米国で定められたAGCME Core Competenciesのすべてに対応した内容が設定されている
  • 解剖体のCTを使って解剖学と放射線学とを統合
  • CMSのDrupalを使った授業ポータルで学生相互に学習を共有

Gregory et al. (2009)より

AGCME Core Competencies

  • patient care
  • medical knowledge
  • practice-based learning
  • interpersonal skills
  • professionalism
  • systems-based practice

ひとこと

文献

  • Gregory, J. K., Lachman, N., Camp, C. L., Chen, L. P., & Pawlina, W. (2009). Restructuring a basic science course for core competencies: an example from anatomy teaching. Med Teach, 31(9), 855–861. PDF
  • Durosaro, O., Lachman, N., & Pawlina, W. (2008). Use of knowledge-sharing web-based portal in gross and microscopic anatomy. Annals of the Academy of Medicine, Singapore, 37(12), 998–1001. PDF
  • カリキュラム表 PDF

Cleveland Clinic Lerner College of Medicine, USA

  • 肉眼解剖学、発生学、画像解剖学が統合され、症例に基づいて解剖を学ぶ
  • 事前に剖出された(プロセクション)無固定の解剖体が使われる
  • 1年生は毎週セッションがあり、2年生はそれより少ない
  • 解剖実習では、プロセクションの標本4つを学生が巡回する
  • 放射線科医の指導下で画像解剖学を広範に学ぶ
  • 2年生はプロセクションの作成の助手を務める
  • 3年生の臨床実習でも解剖を学ぶ
  • 3〜5年では外科解剖学の選択授業がある
  • physician assistant (PA) の授業のTAを務めることもできる
  • コース説明 Anatomy & Embryology

文献

ひとこと

University of Toronto, Canada

  • 4年制で最初の2年間が授業、後の2年間が臨床実習
  • 最初の2年間で基礎医学と臨床医学を学ぶ
  • 器官や疾患別に系統化された授業
  • 自習用の電子教材があり、チーム基盤型学習、問題解決学習、アクティブラーニングが推し進められている
  • 解剖学実習は2年間にわたり、その時々の授業に合わせて進められる
  • キャンパスに解剖実習室が2つある
  • 評価は実地試験のほか、他の授業と同じくネット上の試験が使われる

参考

Morehouse School of Medicine, USA

  • 解剖学実習をコアにして統合カリキュラムを設計した
  • 解剖学実習と発生学を合わせて26週間。週ごとに所要時間は異なる
  • カリキュラム運営のチームをつくった
  • 試験を電子化したシステムをつくった

Klement et al. (2017)より引用

文献

  • Klement, B. J., Paulsen, D. F., & Wineski, L. E. (2017). Implementation and modification of an anatomy-based integrated curriculum. Anatomical Sciences Education, 10(3), 262–275. http://doi.org/10.1002/ase.1676

University of Alabama at Birmingham, USA

  • 臓器別の統合カリキュラムに解剖学が統合されている
  • 解剖学の授業は講義、TBL、解剖学実習
  • 最初の2年間の全12モジュールのうち、7モジュールで解剖学がある
  • 講義とTBLは合わせて40時間、解剖学実習は55時間
  • 実習書はGrant
  • 1年生のチームと2年生のチームが同じ1体の解剖体の異なる部位を解剖する
  • カリキュラム改変当初は解剖学の授業はほとんどなかった。そのUSMLE Step 1(日本のCBTに相当)の成績は、解剖学だけでなく他の基礎医学まで落ち込んだ。その後、解剖学の授業を増やし、改変前の成績まで戻ったという

Brooks, et al. (2015)より

ひとこと

  • 日本のCBTでは詳しいデータが提供されない

文献

  • Brooks, W. S., Woodley, K. T. C. P., Jackson, J. R., & Hoesley, C. J. (2015). Integration of gross anatomy in an organ system-based medical curriculum: strategies and challenges. Anatomical Sciences Education, 8(3), 266–274. http://doi.org/10.1002/ase.1483

Harvard Medical School, USA

  • 2000年代からPBLが導入されているらしい
  • 4年制のうちの最初の1年の秋に3か月間の基礎医学の授業がある
  • 解剖学は、講義、プロセクション(あらかじめ剖出された標本)、解剖学実習で

カリキュラム

文献

  • Yiou, R., & Goodenough, D. (2006). Applying problem-based learning to the teaching of anatomy: the example of Harvard Medical School. Surg Radiol Anat, 28(2), 189–194. http://doi.org/10.1007/s00276-005-0062-z

Quinnipiac University, USA

  • The Frank H. Netter M.D.の名を冠した医学校
  • 1年の10週間の基礎医学の一部として解剖学がある
  • 解剖学実習は100時間
  • 8~9名のチームでそれぞれ男女2体の実習体を解剖する
  • チーム内の分担は学生に任されている
  • 解剖実習中に、病理学と歯学のTAが訪れる
  • チーム内やクラスに向けて各ブロック内でひとり1回はプレゼンする

文献

  • Niekrash, C. E., Copes, L. E., & Gonzalez, R. A. (2015). Frank Netter’s legacy: Interprofessional anatomy instruction. Anatomical Sciences Education, 8(4), 348–359. http://doi.org/10.1002/ase.1540

米国の現況

米国では、解剖学の授業の状況が全米に渡って定期的に調査されている。2018年の報告では、系統別統合カリキュラムに解剖学の授業も組み込まれていることがほとんど。完全な統合、部分的な統合とで、半々。授業時間数は、肉眼解剖学と顕微解剖学については減少している。神経解剖学と発生学はあまり変化ない。

 

授業時間数の推移。McBride & Drake (2018)より

文献

  • Drake, R. L., Lowrie, D. J., & Prewitt, C. M. (2002). Survey of gross anatomy, microscopic anatomy, neuroscience, and embryology courses in medical school curricula in the United States. The Anatomical Record: Advances in Integrative Anatomy and Evolutionary Biology, 269(2), 118–122. http://doi.org/10.1002/ar.10079
  • Drake, R. L., McBride, J. M., Lachman, N., & Pawlina, W. (2009). Medical education in the anatomical sciences: the winds of change continue to blow. Anatomical Sciences Education2(6), 253–259. http://doi.org/10.1002/ase.117
  • Drake, R. L., McBride, J. M., & Pawlina, W. (2014). An update on the status of anatomical sciences education in United States medical schools. Anatomical Sciences Education, 7(4), 321–325. http://doi.org/10.1002/ase.1468
  • McBride, J. M., & Drake, R. L. (2018). National survey on anatomical sciences in medical education. Anatomical Sciences Education, 11(1), 7–14. http://doi.org/10.1002/ase.1760

インド・ヨーロッパ

University of Dundee, Scottland

  • 系統別統合カリキュラム
  • 最初の3年間にわたって、系統別に解剖実習がある
  • 解剖学・人類学・法医学の独立したセンターがある

カリキュラム

文献

  • Kennel, L., Martin, D. M. A., Shaw, H., & Wilkinson, T. (2018). Learning anatomy through Thiel- vs. formalin-embalmed cadavers: Student perceptions of embalming methods and effect on functional anatomy knowledge. Anatomical Sciences Education, 11(2), 166–174. http://doi.org/10.1002/ase.1715

St. George’s University of London

カリキュラム

  • 学部入学のコース(5年間)と大学院入学のコース(4年間)がある
  • 学部入学のコースでは、1年生で基礎的な医学を学ぶ
  • 解剖学は週2回の午前中。初日がPBL、2日目がPBLと解剖実習
  • カリキュラムの説明

ひとこと

 

Christian Medical College Vellore, India

  • 授業が4年半、続いて1年間のインターン
  • 最初の1年間で、解剖学、生理学、生化学
  • 次の1年半で、薬理学、病理学、微生物学、法医学
  • 最後の2年間で臨床医学
  • 解剖学教員は13名
  • 2009年の時点では、解剖学の所要時間の検討として、1年半(講義と実習合わせて915時間)と1年(671時間)を比較していた
  • パンフレット PDF

文献

  • Holla, S. J., Ramachandran, K., Isaac, B., & Koshy, S. (2009). Anatomy education in a changing medical curriculum in India: medical student feedback on duration and emphasis of gross anatomy teaching. Anatomical Sciences Education, 2(4), 179–183. http://doi.org/10.1002/ase.79
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