パイオニアマスク Fタイプ 医療用クラス3

MRIには禁忌MRI室で使用すると、吸着事故や、発熱による火傷のおそれがある。ワイヤーに鉄が使われ、表層の抗菌コーティングにも金属が入っているため。FDAのMRI でのマスク使用についての安全性情報

医療用マスクのJIS規格でクラス3に適合したマスク。日本製。

製造した株式会社パイオニア・システムは、ホテルメンテナンスをおもな業務としている大阪の会社(音響機器のパイオニア株式会社とは違う)。

パイオニアマスクには、カップ型のNタイプと、韓国のKF94に似たFタイプがある。

Fタイプには一般用5枚入りと医療用30枚入りのがあるが、それぞれ検定を受けているというだけで、製品自体は同じらしい。FタイプにはMとLの2つのサイズがあり、Mサイズには白色のほかにグレーとピンクのもある。

医療用は箱入りで、中に個包装のマスクが30枚入っている。

装着した感じは、KF94のタイプと同じ。プリーツのタイプのマスクに比較して、口元に空間があるので呼吸のデッドスペースが増すが、吸排気の抵抗は少ない。

 

外箱

 

医療用は30枚入り

 

個包装

 

個包装の裏側に規格の詳細が記されている

 

マスク自体は、メルトブローン不織布を2層含む5層。表には金属イオンを含む素材で抗菌コーティングされている。裏面は肌あたりのよい不織布。ストラップは5ミリ幅のつるつるした感触の平たいひも。

ノーズワイヤーには鉄線が2本入っていて、可塑性がよい。しかし、N95マスクにあるようなスポンジのパッドはない。顔の形にもよるが、ストラップが耳がけなこともあり、鼻や下顎のまわりにテンションがかかりにくくシール性はよくないかもしれない。実際、使い始めはよいが、少し時間がたつと生地の腰が折れてきてフィットが低下しがちだった。

 

顔側

 

外側

 

ストラップ

 

表と裏の素材の違い

 

ノーズワイヤーには鉄線が2本入っている

 

医療マスクのJIS規格は2021年に初めて設けられたもので、この認証を受けた製品はまだ少ない。クラス1〜2が一般的な診察室や病室で使われるマスク、クラス3は手術室などで使われるマスクが想定されている。

医療用マスクの品質基準(JIS T9001:2021)
項目 クラス1 クラス2 クラス3
微小粒子捕集効率(%) ≧95 ≧98 ≧98
バクテリア飛まつ捕集効率(%) ≧95 ≧98 ≧98
ウイルス飛まつ捕集効率(%) ≧95 ≧98 ≧98
圧力損失(Pa/㎝2) <60 <60 <60
人口血液バリア性(kPa) 10.6 16.0 21.3
可燃性 区分1 区分1 区分1
遊離ホルムアルデヒド(µg/g) ≦75 ≦75 ≦75
特定アゾ色素 ≦30 ≦30 ≦30
蛍光 著しい蛍光を認めず 著しい蛍光を認めず 著しい蛍光を認めず

これとは別に、感染制御向けのマスクの規格として、米国NIOSH規格のN95、日本のJIS T 9002がある。N95を感染制御に使う場合、マスクが効果的に装着されているかどうかの試験、フィットテストとユーザーシールチェックをユーザーごとに受けることが求められる。