エキスパートナース 2021年10月号 X線画像の見かた

 

エキナス10月号の特集は、X線画像の見方。全部で35ページあって、全138ページの雑誌では大型の特集である。

取り上げられているのは、X線画像の基本と、呼吸器系・循環器系・消化器系の読影。

ふつうの読影入門とハッキリと違うのは、病態と画像とをリンクして説明されていること。患者の症状や検査結果とが画像ではどう見えるのか、反対に、画像で現れた変化は症状や検査とどう関連しているのか、それが分かるようになっている。現在では電カルで画像も検査もまとめて見られるので、医師や放射線技師以外でも読影に 苦手意識 興味があるのだ。

たぶん、特集のあとがきを先に読んだ方がいい。著者(医師で教授)が看護師長に相談しながら説明を工夫したらしい。そう、病院で一番偉いのは看護師長である。

X線画像を含めて考える診療を、手早く概観できる。医学生が読んでも役立つと思う。

 

あとがき

 

タイトルページの著者の似顔絵の目つきがちょっと恐いが、実物は優しそうだ。藤田医科大学岡崎医療センターは、二次救急医療機関として計画されていたが、開院寸前のところでダイヤモンドプリンセス号の新型コロナウイルスのアウトブレイクが発生した。設備が完成していたことから感染者・濃厚接触者の受け入れ先として指定され、計128名を受け入れた(認可前で治療できなかったので、発症者は他院に転送された)。

 

著者

 

最初はX線画像の原理から始まるけれども、カセッテとか、人工骨とか、病院で使われる資材を例にしていて、具体的だ。症状と画像との結びつけでも、薬剤性間質性肺炎の病前・病中が例になっていて、画像を読めるといいのがわかる。

 

X線画像の原理

 

具体的な症例で、画像とバイタルサインとのリンクをみる

 

概論に続いて、呼吸器系の各論。肺胞性肺炎と間質性肺炎とを区別し、症状と画像との関係をみていく。コロナに関係した医療関係者は、間質性肺炎をたくさんみたはず。気胸や肺気腫では、X線画像だけでなく、CTも並べて論じられる。

発症時の画像だけでなく、治療中の画像もあって、治療経過に伴う症状や画像の変化を結びつけてみられる。

 

肺炎の肺胞性と間質性

 

気胸のX線画像とCT。発症すぐと、治療中の画像

 

表紙のイラストは、肘窩の静脈への注射の練習。シミュレーターに針を刺しているところを看護実習生が熱心にみている。4月号から始まった成長物語も、もう後半だ。