感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた

 

外科医でマンガ家でトップブロガーで3児の母のさーたり氏の新刊

さーたり氏自身は感染症は専門外なので、ウイルスとワクチンの専門家の中山哲夫氏(北里大学北里生命科学研究所特任教授)がバックボーンになっている。父娘ばかりか3世代一家総出だ。

 

 

第1章が感染症の概論。「感染=発症」ではないという、基本中の基本から。新型コロナウイルスの陽性者数が日々マスコミで伝えられている昨今では、忘れられがちだ。

 

 

 

学習マンガ一般に共通する構成で、概要をマンガ(白地)で、詳細はテキスト(青縁)で解説されている。他の章も同様だ。

 

 

第2章以降は感染症ごとの各論。それぞれの感染症の概要、歴史と現状、注意点などが、興味深いエピソードを交えてマンガとテキストで語られる。ワクチンにも重きが置かれ、その効果や世界的な発症状況、日本での問題点がおさえられる。

『コウノドリ』第4巻は本学医学図書館にある。

 

 

風疹がアメリカ大陸や韓国で排除されていて、米国では妊婦の日本への渡航を控えるよう勧告されているらしい。知らなかったエピソードも多い。

 

 

話題には最近のニュースも含まれる。ロタウイルスワクチンの定期接種開始もその一つ。

 

 

最後の章が、新型コロナウイルス。ただしそれ自体については他の感染症の章と同様に概論だ。現在進行形なので、J-IDEOなど感染症専門誌をみるとか、信頼できる専門家のWeb記事を読んだらよい。本書ではむしろ、新型コロナウイルスの流行で注目されている、日本でのワクチンの問題が改めて取り上げられる。日本のワクチン開発が他国に後れをとっていること、ワクチン接種が少ないこと、医療に関するマスコミの報道の問題などだ。

さーたり氏の「婦女医シリーズ」にはない、ハードコアな一冊だった。