生命科学ユニット3上野担当 テスト解説

基本的な採点基準(3以外)
加点した後の減点により採点。


関係ない事でも間違いが書いてあれば、項目1つにつき−1点
言葉足らずは−1点
問いと関係ない事柄は±0
文字数による減点は特に行わない。
最大各5点 全体平均点10.1点
1真核生物に存在する回転モーターの名前を挙げ、回転するために必要なエネルギー及び生体内での役割について説明しなさい。平均点4.1点
F0F1-ATP合成酵素(F0F1-ATPアーゼ、F0F1-ATPシンターゼ、F0F1-ATPase, F0F1-ATP synthase, H+-ATPase) 2点
H+の濃度勾配を利用する 1点
ADPとPiからATPの合成をする 2点
ATPの加水分解を利用する 1点
ミトコンドリアからH+のくみ出し 2点
注意:バクテリアは真核生物ではない。原核生物(真正細菌)である。バクテリアの鞭毛について書かれていたら−1点
2ミオシンとキネシンの細胞骨格上を滑走する機構について、相違点を挙げ説明しなさい。平均点2.7点
微小管・アクチンの違い。2点
キネシンはATP結合時にレールに強く結合し加水分解しADPになると外れる、ミオシンはヌクレオチドがない状態でレールに強く結合、ATPがつくと外れる。3点
その他モーターの運動機構の共通点(どちらもATPの加水分解を推進力に使うなど)でも関係することが書いてあればおまけで各々につき1点
注意:機構とはメカニズムのこと、機能・役割とは違う。分裂・輸送・運動など機能・役割は採点対象外。
注意:相違点とは二つの物事の間の違う点。二つの間の差異。採点に当たり共通点あっての相違点なので共通点も少し加点対象にしました。
注意:ミオシンは単頭モーターとは限りません。村上先生の授業では二頭モーター(myosin V)のビデオを見せているし、よく説明に使われる筋ではミオシンフィラメントを形成していますので多頭です。今回は減点対象から除きました。
3(応用問題)機能・役割3点、現象2点 平均点3.3点
正解は
微小管を脱重合するモーター(キネシン)の欠損のために微小管が脱重合できずに側枝の退縮ができなくなった。
参考までに他の有効な回答例
1, 細胞質ダイニンの欠損のため逆行輸送ができなくなり、微小管の側枝でチューブリンの濃度が下げられず、退縮より伸長が促進されたため。
2, 軸索の側枝の退縮を制御する受容体の軸索輸送を行うキネシンの欠損により、軸索の退縮を行うシグナルを受け取れなり伸長だけ促進されたため。
3, 成長円錐にある膜を回収するミオシンの欠損のため、成長円錐の退縮ができなくなり、軸索の成長のみが促進されたため。
など…
近い回答は4点。シグナルを運ぶ逆行輸送モーター(神経伝達のスピードを考えればシグナル自体を運ぶようなモーターはない。)微小管の脱重合する物質の輸送(微小管を脱重合するモーターがあることは説明したので)など…。
下記のようにある程度考えられていれば3点
4, 成長円錐で輸送をするにミオシンの欠損のため、軸索の側枝の退縮を制御する受容体が細胞膜に提示できなくなったため。
など…
注意:軸索がとても長いのに比べ、成長円錐は小さいので自然拡散(ブラウン運動)で十分。根拠が弱い。
3点は論理的に弱い回答だが、よく考えている人。
2点の人はオマケの努力賞です。
1点は何らかの事柄が書いてある人です。
0点は無回答か文章の意味が分からなかった人です。
極性の制御、軸索側枝の進退の制御に関わる分子の輸送などは曖昧なので大幅減点。極性がなくなると軸索も樹状突起の区別がなくなり線維芽細胞になる。
注意:神経細胞は分裂しない。よって分裂に必要なモーターはもとから発現していない、または違う役割をしている。
注意:軸索にアクチンフィラメントはほとんどない。フリーのアクチンがあるだけ。軸索は微小管またはニューロフィラメントなどが形成している
注意:授業で説明した以上の新しい機能は勝手に作らない。