イラスト解剖学 第8版

2014年刊の通称「イラ解」第8版。試験対策向き。

「ユルい」タッチのイラストで解剖学のいろいろなトピックが説明される。全体の構成は系統解剖学になっているけれども、それぞれのトピックが1ページにまとまっているので、すきなページだけ読める。そのために、ハードな勉強に飽きたときや、試験前の差し迫った状況で使われることがある。

臨床上重要なポイントが多く紹介されているので、覚えておけば後で臨床手技を学ぶときに役立つだろう。もちろんそのときの資料は、解剖学者の書いたものではなく、Procedures Consult(群馬大はサイトライセンスで使える)のような、専門家のつくったのを使わないといけないが。

イラストの下には説明文があり、ページの半分くらいの分量になる。ここはどちらかというと読みにくい。

img_4075
臨床上のポイントがイラストと文章でまとめられる。実技上は、不用意にこんな風に針を刺したら気胸になるかもしれない

内容には発生学、神経解剖学も含まれる。発生学の分量はミニマムだが、CBTでよく問われるポイントはカバーしている。神経解剖学は、現代の神経科学と比べるとクラシックな体系で書かれているようだが、診断学には十分に機能するだろう。

img_4078
発生学は、CBTによく出題されるポイントをカバー
img_4079
神経解剖学は伝統的な記載

巻末の付録には、人名の入った用語のまとめがある。また、「語呂」のコレクションが、この版で追加された。医学関係の語呂にはエッチなのが多く、きわどいのも少なくない。ここにもそういうのが多く含まれる。

img_4080
人名の入った用語のまとめ。これを設けた意図はわからないが、似顔絵を描きたかったのだろうか
img_4081
語呂のまとめ

本書だけで解剖学の勉強を済ませられるかというと、難しい。通読すれば違うかもしれないが、それは意外に大変だ。また、臨床では位置関係を正確に知らないと困ることがあるけれども、それをこのイラストには求められない。また、並びが系統解剖学だから、解剖学実習の予習にも使いにくい。

一通り済んだ後の試験対策には役立ちそうだ。特に、本書を授業のネタ元に使っている解剖学教員の試験の場合に。同じ著者で、さらに試験対策にフォーカスした教科書『いらすと!はじめての解剖学』もある。こちらには電子版も付いている。

海外の教科書にもユルいイラストで試験対策にフォーカスしたものはある。「イラ解」はこれらよりも体系的でトピックが揃っている点で、無二だ。