組織細胞生物学(原書第3版)

組織学の教科書の選択の目安として、4点をあげた:

  • 高品位な光学顕微鏡写真が多数あること
  • 文章や写真だけではわかりにくい局面で適宜模式図があること
  • 形態を意義付ける機能面、分子面の記述がしっかりしていること
  • 新しい知見がフォローされていること

これにかなう数点の教科書のうちのひとつが改訂された。

本書は組織学と細胞生物とが合わせて記載されており、単なる形態だけでなくその機能的意義まで学ぶことができる。

光学顕微鏡写真が大きくレイアウトされており、組織学実習でも役に立つ。模式図も的確だ。

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大きな顕微鏡写真と模式図

近版では、病理学まで視野が広げられている。

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心筋の正常組織像と心筋梗塞の病理像とが見開きで提示される

原著の刊行は2012年で、当時までの知見はカバーされている。

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2005年にわかったハッサル小体の機能も既知として記載されている

少し残念なのは、本書の刊行されたのが、原著最新版の第4版のすぐ後になったことだ。原著第4版では、以前の版の誤りが正されたほか、病理学の内容が強化された。たとえば、第4版で追加された、腫瘍の良性・悪性の表(原著第4版Figure 3-19)や、ネクロトーシスの説明(同3-17)は、もしあれば有用ではあった。

全体の違いは大きくないし、原著第3版以降の知見は訳注で追補されているので、学ぶのに心配することはないだろう。『ジュンケイラ組織学』と合わせて検討できよう。

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右上の写真は原著第4版ではカラーのに差し替えられた
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原著第3版を引き継いでいる間違い。2︎⃣の差す先が間違っている。正しくは脂腺に向かっている矢印