My Love Affair with the Brain – The Life and Science of Dr. Marian Diamond

Marian Diamond博士のドキュメンタリーフィルム。製作会社からの直販以外は入手困難だが、群馬大学医学図書館に所蔵された。

Diamond博士は、神経解剖学者としてカリフォルニア大学バークレイ校で60年以上脳の研究を続け、解剖学教員としても同大の6万人以上の学生を指導した。その授業はかつてYouTube上でオープンコースとして公開され、大学教授の範疇では第2位のビュー数があった。

2017年7月、90歳で没。

Diamond博士の最も重要な業績は、脳の器質的・機能的可塑性を初めて証明したこと(1)。

My Love Affair with the Brain – The Life and Science of Dr. Marian Diamond から

ラットを3通りの飼育方法、すなわち、(1)通常の2〜3匹をケージで飼う方法、(2)多数のラットをいろいろなおもちゃのある大きなケージで飼う方法(enriched environment)、(3)小さなケージに一匹だけで飼う方法で飼育する。

そして、脳を取りだし、脳全体の凍結連続切片をつくって顕微鏡下ですべて細かく計測した。

My Love Affair with the Brain – The Life and Science of Dr. Marian Diamond から

結果、rich environmentで飼育すると大脳が6%大きくなることが示された。当時は、脳の形態や機能は遺伝によって決められていて、環境や学習によっては変化しないと信じられていた。大きな反論を呼んだが、厖大なデータの裏付けが勝った。脳の可塑性は、今日の脳科学の常識である。Diamond博士は脳の可塑性を、シンプルにこう表現している:

You use it, or lose it.

Diamond博士はまた、アインシュタイン博士の脳を調べたことでも知られている(2)。ここから、アインシュタイン博士の脳は、普通の成人男性の脳よりニューロンひとつ当たりのグリアの数が有意に多いことを示し、グリアが単なるニューロンの支持細胞以上の働きがあることを示唆した。これも論争になったが、以後のグリア研究の隆盛の端緒になった。

  1. Diamond, M. C., Krech, D., & Rosenzweig, M. R. (1964). The effects of an enriched environment on the histology of the rat cerebral cortex. Journal of Comparative Neurology, 123(1), 111–119.
  2. Diamond, M. C., Scheibel, A. B., Murphy, G. M., & Harvey, T. (1985). On the brain of a scientist: Albert Einstein. Exp Neurol, 88(1), 198–204.
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